「性病だけど無症状のケースってあるの?」
「自覚できる症状の無い場合、性病検査って不要かな?」
性病なのか心配だけど、今現在、まだ無症状だからと放置していませんか?
ここでは、主要な性病の症状と潜伏期間を解説した上で、無症状でも念のため簡易検査だけでも受けておくべき理由を解説します。
結論からいうと、こういった場合の多くは自覚症状が弱いだけ、または潜伏期~ごく初期というケースが大半です。できればクリニックを受診、または自宅でも確認できる簡易検査だけでも試してみることをおすすめします。
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【結論】自覚症状の強さは個人差があるため無症状でも検査しておこう
「とりあえず無症状なので、症状がでてから性病検査を受ければよいのでは?」
もしかしたら性病検査など不要とお考えの方もいると思います。しかし結論からいうと、以下の理由から1日でも早く簡易検査だけでも受けておきましょう。
潜伏期が長く自覚症状の感じにくい性病もある
通常、キスや口での行為をふくむ性行為のあと1~2週間以内に何らかの症状がみられます。この症状が受診のきっかけになりますが、じつは症状が出るまでの時間は個人の免疫力などにより個人差も大きく、男女間で自覚症状の強さにも違いがあります。
症状が出るまでの時間は個人の免疫力などによって異なり個人差が非常に大きいため、強い痛みや膿がなくても淋病に感染しているケースもあります。症状だけで判断することは難しく、似た症状の病気も多く存在します。
性感染症は無症状であることが多いのですが、症状がある場合、女性よりも男性の方が自覚症状があることが多いのです。そのため男性は病院を受診しやすく女性は受診しにくいため、女性の方が炎症が進行しやすく、感染症が増加しやすいといわれています。
なのでおりものや下腹部痛を感じたら早めに受診することが大切ですが、日頃から性病を予防するために、信頼できる人以外と性行為をしないようにしましょう。
また性感染症の治療には、自分とパートナーの両方の検査と治療が欠かせません。ご自身の治療が完了しても、パートナーが未治療の場合、再感染する可能性があります。(ピンポン感染症)
無症状でも性感染症の潜伏期間かもしれない
潜伏期とは病原体に感染してから最初の症状が出るまでの期間のことです。
性感染症の潜伏期は、病気の種類によって異なります。
クラミジア | 1~4週間 |
---|---|
淋病(淋菌感染症) | 2日~1週間 |
梅毒 | 3週間~3か月 |
トリコモナス膣炎 | 3日~2週間 |
尖圭コンジローマ | 3週間~半年 |
性器ヘルペス | 2日~10日間 |
B型肝炎 | 1か月~2か月 |
HIVウイルス | 1~10年(やや短いケースもあり) |
例えば、淋病は感染後すぐに症状が出ることが多く、2~7日程度ですが、クラミジアは淋病よりも潜伏期間が長く、感染後1~3週間程度で症状が出ると言われています。
これは淋菌は比較的早く発症し、クラミジアは比較的ゆっくり発症するという菌の発育速度の違いから、症状が出るまでのスピードに差が出るためと考えられています。
また淋病の方が、性器から黄白色の濃い膿が出たり尿道が強く痛むなど症状が重くなることが多いようです。
また全く症状がない(気づかない)ケースもあるので、潜伏期間が過ぎたからといって、感染していないと判断することはできないので注意が必要です。
性行為がなくて無症状でも感染しているケースもある
またクラミジアや淋菌など尿道炎の原因となる細菌は、キスや口移しなどの口腔内接触があると、のどにも感染することがあります。
喉が感染していても尿道が感染していなければ、尿道には全く症状が現れませんし、そもそも喉が感染していても喉の症状が現れないので、感染に気付かないことが多いのです。
また、症状が出ない潜伏期間中であっても、自分が感染していればパートナーに感染させる危険性があることにも注意が必要です。
いずれにしても、潜伏期間にとらわれず、症状の有無にかかわらず、自分の行動に気になることがあれば検査を受けることが大切です。
無症状でも潜伏期の可能性のある性病とは
以下、無症状でも念のため疑っておきたい主要な性病とその特徴をまとめてみました。今現在、何の症状も自覚できなくても以下の性病の潜伏期間と初期症状を覚えておきましょう。
性器クラミジア感染症
トラコーマティス・クラミジアによる性感染症(STD)。
症状が非常に軽いため、放置されることが多く、女性の感染者が増えている。感染が長引くと、不妊症や子宮外妊娠の原因になることもある。
近年、若者を中心に感染者が増えており、性感染症(STD)の中で最も多い病気です。性交後2~3週間で透明で水っぽいおりものの増加がみられ、初期にはほとんどの女性が無症状です。子宮内膜や卵管などの付属器に感染が広がり、骨盤内炎症性疾患を起こしても、症状は軽いことが多い。
症状が進行すると、不妊症や子宮外妊娠になったり、炎症が肝臓に波及して肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)を起こし、激しい上腹部痛を呈することもあります。
妊婦のクラミジア感染(感染に気づかない、妊娠中に感染)は、子宮内感染(絨毛膜羊膜炎)を起こし、流産や早産につながることがあり、出産時の感染は新生児の結膜炎や新生児肺炎を起こすことがあります。
抗生物質の内服(クラリスクラリシッド1週間、最近ではジスロマック1回4錠など)で治療は可能ですが、腹腔内にまで達した癒着の改善は厳しいものがあります。また仮に無症状であっても検査で陽性ならば必ずセックスパートナーに対しての治療が必要です。
最近ではオーラルセックスによる咽頭(のど)感染も多いと言われています。
淋病(淋菌)
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)によって引き起こされる細菌感染症。男性の場合、感染後数日の潜伏期間を経て排尿痛や外尿道口からの膿が出る尿道炎を発症する。
女性では子宮頸管炎や尿道炎を起こすが、症状が軽いため放置されやすく、下腹部痛や発熱を起こし、子宮外妊娠の原因となることもある。
日本では、淋菌はクラミジア感染症に次いで多い感染症で、淋菌感染症の20〜30%はクラミジア感染症を合併するといわれている。
診断はおりものの培養によって行われる。治療は主に抗生物質の点滴ですが、最近は薬剤耐性菌が増えており、治療が困難な場合があります。
性器カンジダ症
腟内常在菌であるカンジダ属菌(カンジダ・アルビカンスなど)の増殖によって起こる生殖器の炎症です。
性行為の際に移動性のカンジダが繁殖して起こるもの(外因性感染)と、もともと膣内に留まっていたカンジダが何らかのきっかけで繁殖するもの(内因性感染)がある。感染症は性病とは異なります。
膣内はもともと酸性で、酸性の環境に弱い病原体の侵入や繁殖を防いでいます。これを膣の自浄作用といいます。
しかし糖尿病の人、ステロイドや免疫抑制剤を服用している人、手術後や風邪で抗生物質を服用している人、妊婦などは、膣内の抵抗力が低下し、カンジダが繁殖しやすくなっているのだそうです。
症状としては、白いヨーグルト状や酒さ状のおりものの量が増えたり、悪臭がしたり、外陰部がひりひりしたりします。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型によって引き起こされる性感染症(STD)です。
初感染時は、外陰部に痛みを伴う水疱ができ、左右対称の浅い潰瘍性病変が見られ、初期には外陰部の違和感やヒリヒリした痛みがあり、悪化すると排尿障害や歩行困難に陥り、入院を余儀なくされることもあります。
最近はオーラルセックスが一般的なので、口腔内や口唇にもヘルペスが発生するケースがあります。
治療は抗ウイルス薬(アシクロビル)や軟膏の内服が一般的で、重症の場合は点滴が必要な場合もありますが、通常5~10日程度で症状は治まります。
しかし、ヘルペスの厄介なところは、一度局所に感染すると、感覚神経を上昇しながら進行し、神経節で生涯潜伏感染し、肉体的・精神的ストレスで免疫力が低下すると再発することがあることである。体力を維持することが大切です。
最近では、年に6回以上再発する場合、少量の抗ウイルス薬(アシクロビル)を長期間服用することができるようになりました。
腟トリコモナス症
鞭毛虫科に属する原虫トリコモナス膣炎(Trichomonas Vaginalis)による炎症性疾患で、主に外陰部に発症する性感染症(STD)です。
性交渉のほか、衣服、便器、入浴(温泉)、内診、診察台などから感染することもある。
悪臭を放ち、黄色から淡灰色の泡状のおりものが増え、外陰部を引っ掻くような感覚があるのが特徴です。
男性(セックスパートナー)が感染しても無症状であることが多いですが、一緒に治療する必要があります。
治療はメトロニダゾール/チニタゾールの経口剤または膣錠で行います。
トリコモナス原虫は膣だけでなく、泌尿器や直腸にも生息している可能性が高いため、原則として内服治療が必要です。
ただし、メトロニダゾールは胎盤を通過して胎児に移行するため、妊婦への経口投与は原則避ける。(原則として膣錠を使用する)。
症状が無くても性病か不安なら簡易検査を!
症状から性感染症が疑われる場合は、速やかに検査を行う必要があります。ただし、無症状の場合も多いので、性感染症に感染した可能性が考えられる場合、症状の有無にかかわらず、安価な郵送タイプの簡易検査だけでも受けることをお勧めします。
またHIV感染症のように潜伏期間が長く、陽性反応が出にくい感染症もあり、とりあえず陰性でも一定期間経過後に再検査することが望ましい場合もあるのでご注意ください。
治療が中途半端な状態で再発・悪化することもあるため、自己判断で治療を中断しないこと。本人の検査結果が陽性の場合は、できるだけパートナーにも検査を受けさせ、必要であれば一緒に治療すること。